はじまりの結婚式

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 手の空いているお人好しの病院スタッフ達が各々の仕事着のままヴァージンロード沿いの両側にびっしりと並んだ。短いヴァージンロードである。両側にびっしり並んでも6人だ。皆、窮屈そうにしている。  正式な式場で挙げる結婚式では、通常、参列者はヴァージンロード沿いに仕事着で並ばないだろう。でも、ここは正式な式場ではないのだ。どんなにめでたく飾り付けてもあくまで病院の個室にすぎない。ここにはここのやり方があるのだ。郷に入りては郷に従え……。僕が最期を迎えるであろう郷はユニークだったね、まったく。  白衣を着た院長がやってきてヴァージンロードを悠々と歩いた。ヴァージンロード沿いに並んだ病院スタッフ達は院長が前を通る際、頭を深々と下げた。  院長はベッドに仰向けに横たわる僕の足元で止まった。 「院長回診の時間かい?」 と僕は素っ気ない調子で言った。 「またご冗談を。私がバイブルを持って回診しているのを見たことがありますか?」 と院長は笑顔を湛えながら言って、左手に持ったバイブルをそのつやつやしたほっぺたの横まで上げた。
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