第二幕 月夜と影

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微かな物音がした。 私は読んでいた書物から視線をあげ、立ち上がった。 障子を開け、辺りを見回す。 月明りに照らされる見慣れた風景。 「!」 その中にぽつりと佇む人影があった。 衣装で分かる。 家に仕えている"草の者"だと。 (何をしているのだろう?) 不思議に思い部屋から出ると、人影がゆっくりと振り返った。 双眸に宿る月の淡い光り。 囚われる。 綺麗な双眸に。 .
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