第二幕 月夜と影

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私はその方の手を握った。 「!」 その方は驚いた表情を見せる。 「そんなことありません!」 ぎゅっと握った。 離してしまわないように。 離されてしまわないように。 「末姫…」 どうやら末姫とは私のことらしい。 何故かそのことにほっとした。 「貴方の手は…」 「さき様?まだ起きていらっしゃるんですか?」 私の声を遮る侍女の声。 そして、近付いてくる気配がする。 「あっ…」 外される手。 「待って!」 掴もうとした手は空を掴んだ。 その方の姿は目の前から消えていた。 私は辺りを見回す。 「!」 人影を見つけた場所にその方が立っていた。 その方の双眸が月の淡い光りを宿す。 囚われる。 一瞬で。 .
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