第二幕 月夜と影

7/9
前へ
/77ページ
次へ
「さき様」 「!」 すぐそばで呼ばれて、はっと視線を向けた。 「まだ起きていらっしゃったんですか?」 怒気を含んだ声で問われ、 「えっと…」 何と答えようと視線をその方に戻す。 しかし、そこにはその方の姿はなかった。 (行ってしまわれた…) 伝えたかった。 "貴方の手は汚れてなんていない"と "御家のためにその手を汚してくれているから私達は平穏に過ごせているだ"と "ありがとう"と そう伝えたかった。 .
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加