第二幕 月夜と影

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「さき様」 次は窘めるように呼ばれ、視線を侍女へと戻す。 この侍女は幼い頃からずっと仕えてくれていて、遠慮なく説教もする。 「眠っていたら、物音がしたのよ。だから」 「さき様。燭台が灯ってますし、書物が開いたままですが?」 (ああ、私の馬鹿…) 書物だけは片付けて置けばよかったと後悔。 すると、はぁとため息が聞こえた。 説教かと思い、身構える私に侍女は口を開く。 「もういいですから。おとなしく寝て下さい」 と、私を臥所へと促した。 促されるまま臥所に横になった私は、夜着を整えてくれている侍女に尋ねる。 「説教はしないの?」 「しますよ。明日の朝に」 自分の顔が引きつるのが分かった。 「おやすみなさいませ」 そんな私に侍女は恭しく頭を下げ、燭台の火を消した。 部屋を出、障子を閉める音がし、足音が遠ざかっていく。 .
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