第一幕 匂い袋の香りと毒

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香を焚く。 仄かに甘い香りが鼻腔をくすぐる。 「咲雪(サユキ)様」 唯一の侍女が私に声をかけた。 「…会いたくありません。断りなさい」 「それが…あの…」 躊躇う声に私は視線を向けた。 侍女の後ろ隣りにはきちんと小袖を着た青年が控えていた。 (本人を来させるなんて…) 驚きと呆れと戸惑いが入り交じる。 しかし、冷静に侍女に向かって言う。 「下がりなさい」 私の声に侍女は一礼すると場を離れる。 侍女の足音が聞こえなくなってから、私は口を開いた。 「どうぞ、中へ」 青年が部屋へと足を踏み入れ、近過ぎず遠過ぎない間合で青年は腰を下ろした。 .
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