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「…匂い袋を。替えていないのでしょう?」
話を逸す。
青年が問詰めないと分かっているから。
私は何度優しい貴方を傷付けてきたのだろうか。
「ああ…」
青年は頷き、首から下げている匂い袋を懐から出し、自分の首から外した。
こちらへと差し出された匂い袋を、そばにより受け取った。
せめて香だけ貴方のそばに。
そう思いあげた匂い袋。
自分が持っている匂い袋の香りよりも、甘い香りは押さえてある。
しかし、余り香などを焚かない者には同じ香りに感じるだろう。
他の女子への牽制。
貴方を拒んでいながら。
最低で愚かだと自分自身を軽蔑する。
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