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"さゆ姫"ではなく、"咲雪"と呼ばれ、引いた顔の熱が戻ってくる。
「やられた…」
負けた気分だ。
行儀が悪いのは分かっているが、ぽてっと畳に寝転がった。
優しい風が入り込み、髪が揺れる。
焚いている香の香りが鼻腔をくすぐる。
この香りは"毒"。
これ以上"好き"になるわけにはいかないのに、"好き"になっていく。
"離れ"なければいけないのに、"側に"いたくなる。
"引き離される""運命"もこの香りの"毒"に犯されて、"変われば"いいのに。
手に持っていた匂い袋をぎゅっと両手で包み込む。
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