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雲すらも凌いで聳え立つ四本の柱。
内一本の上に座禅を組み
精神を研ぎ澄ます男が一人。
下界以上に空気が清んでいると思えるのは、酸素も薄れる高度だからだろうか。下を見れば目眩がしそうな程だ。
だが其が心身を鍛えるには格好の場所であり、また楼からも近所に位置するときたからには、毎朝早く此処へ飛んでは座禅に耽っていた。
無の境地、とは言え心に何も無くなるということではない。
その意は様々だが、基本的には雑念を振り払い零へと回帰することにより、あらゆる環境や状況に翻弄されない心を作る。そして周囲や心内に発生する事象を自然と取り込ませ、それとどう対峙すべきかを問い質す力を鍛える事だ。
風音を抜かせば非常に静かな環境。此処ならば誰にも邪魔されず集中出来る。
そう思っていた彼だったが、其処は幻想郷。こんな辺境にも影は有る。
「……騒霊か。」
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