裕次郎と真澄。

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 静寂が包む部屋の中。  曇硝子に映る影。  真澄は、俺が知っている事を知っている。  男の影をちらつかせ、敢えて別れは切り出さない。真澄がどうしたいのか分からない。  どうしようもない歯痒さと、独占欲が募る胸。  重たい空気。  苦しい呼吸。  好きなのに。 「…真澄」  ドア一枚を挟む相手に、呟く声に返事は無い。  この距離は、光の早さでも追い付けない程修復不可能な距離に思えた。  end.
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