14人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
静寂が包む部屋の中。
曇硝子に映る影。
真澄は、俺が知っている事を知っている。
男の影をちらつかせ、敢えて別れは切り出さない。真澄がどうしたいのか分からない。
どうしようもない歯痒さと、独占欲が募る胸。
重たい空気。
苦しい呼吸。
好きなのに。
「…真澄」
ドア一枚を挟む相手に、呟く声に返事は無い。
この距離は、光の早さでも追い付けない程修復不可能な距離に思えた。
end.
最初のコメントを投稿しよう!