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「…ぅ…ぁ、ふ…」
「眠いのか?」
「昨日、夜更かししたんで…」
欠伸と共に答えたチャンミンに、ユンホ(ちなみにユノというのは単なるあだ名である)は思い出したようにカレンダーを見た。
5日後の日付のところに書かれた、大きな赤い丸印。
「そういえばもうすぐ試験だったな」
「はい。これに合格すれば、ようやく《幻妖術士(ヴィジョンアングラー)》ですから」
チャンミンは懐かしむように言い、自分の左腕にはめられたブレスレットに視線を落とした。
5種類ある妖精術(フェアリーアングル)の中でも最も強いとされる幻妖術は、1回の試験で1人合格するかどうかという難関だ。
現に、正式な《幻妖術士》の称号を持つ術士はこの国に5人いるかいないかと言われている。
しかも幻妖術が使えるのは光属性と闇属性──かなりの希少価値を持つ原理属性だけだ。
この世界に存在するあらゆる物質を構成する原子には、炎・水・風・雷の4つの自然属性と、光・闇の2つの原理属性がある。
ちなみに炎属性のユンホは数多く存在する《炎妖術士(ファイアーアングラー)》のトップとして、国直属の妖術部隊に参加している。
「ごめんな、頼りにならない兄貴で」
「どうして?兄さんはいつも僕の支えになってくれてますよ」
「そうなのか?ははっ、ならありがたいんだがな」
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