391人が本棚に入れています
本棚に追加
闇の館を見習い達の講義のために訪れていたラシルは、いきなり王宮に呼び出された。
待っていたのは、王の従妹にあたる姫だった。部屋に通され、姫の姿を確認した途端、ラシルはクルッと向きを変えて部屋を出ていこうとした。
「こらっ、人の顔を見るなり帰るなんて、無礼でしょ」
ため息をついて、振り返る
実は、この姫、かなりのワガママで周囲を振り回すのが得意なのだが、ラシルが王宮に出入りするようになってから、散々、無理難題を要求して困らせてくれていた。
はっきり言って、関わりたくない。
「……失礼致しました」
「もうっ、話があるから呼んだのよ」
ろくな話ではないと、予想がつく。
だが、ここで話を聞かなかった場合、後々、大変なことになる。ひとまず話を聞いて、早々に退室しようと思った。
「何のお話でしょうか?」
「手伝って貰いたいことがあるの」
「お手伝いですか?」
「そう。龍探しに行きたいの。だから旅に同行してちょうだい」
「は?龍探しっ?」
「そうよ。かなり確実な情報を入手したの」
「…………」
ラシルは頭を抱えたくなった。
龍の逸話はたくさんあるが、存在は確認されてない。子供でも架空の存在という認識を持っているくらいなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!