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長い髪を揺らしながら廊下を歩いていく柚木。
先程の探索の際に寝室の場所は記憶していたので、迷うことも無く辿り着いた。
重々しい扉を開け、広いベッドへと体を投げ出した柚木。着替える気力も無く、制服のまま天井を仰ぎ見た。
何をするでもなく天井を見つめる柚木。その顔には、今にも消えてしまいそうな程の、悲しみと似たものが浮かんでいた。
突然の死、神様との邂逅、性転換、新しい関係の友人達、
今までとはあまりにも違いすぎる生活に、一介の高校生が瞬時に対応するのは難しいことだ。
けれど、自分で決めたことは貫き通さなければならない、というプライドが柚木を締めつけていく。
柚木はゆっくりと息を吐くと、静かに眼を閉じた。
辺りは、静寂に包まれていった。
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