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日がようやく昇り、街が目覚め始めた頃、ロウガの家では、ウルが上機嫌に朝食を作っていた。 上機嫌、といっても端から見たかぎりでは何の変化も無いが。 半熟の目玉焼きを皿に移し、野菜を盛り付けて机に置いていくと、パンパンと手を叩いて、扉の方を心なしか寂しそうに見つめた。 「………まだかな」 キィ───バタン。 「……………」 ちょうど良いタイミングでロウガが帰ってきた。 その服には、若干の赤い液体がこびり付いている。だがウルはそれに気付いても、何も言わない。 「………お帰りなさい」 昨日と同じく、こくりと頷くだけの返事を返して椅子に腰掛けるロウガを見て、ウルも自分の椅子にちょこんと座る。そして無言で食事が始まった。 食事を終えると、ウルは手際よく食器を片付け、ロウガと同じような、黒いマントを羽織った。 それの背には、牙のような紋章が刻まれている。 「………行くから」 ロウガにそう告げて、扉を開けようとすると、ウルが開ける直前に扉が勝手に開いた。 ウルが上を見ると、そこにはロウガが、無言で扉を開けて、ウルを見ていた。 「同行」 「…………うん」 二人は並んで、ようやく活気が出てきた朝の街を歩きだした。
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