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首都ロキ。 世界最大の国家、フェンリルの中核であり、世界の中心と言っても過言ではない、国の象徴。 経済、商、工、全ての中心であるここでは、手に入らない物の方が珍しい。 さらに、人口が最も多く、防備が最も固い。まさにこの国の中枢である。 その首都にあって、一際目を惹く建物がある。 外観は大きな洋館のようだが、正面には狼をかたどった像やら、牙の紋章、爪痕のような模様など、洋館には似付かわしくないものが目立つ。 二人はその怪しい洋館に、躊躇い無く入っていった。 中は外観通り広く、活気に溢れていた。大量の人が行き交い、カウンターのようなところに行ったり仲間と話したりと様々だ。 その中を縫うようにしながら、二人はカウンターまで進んでいった。 二人が通ると、まるで示し合わせたように人が避けていく。だが二人は、それには興味がないようにカウンターのみを見ていた。 カウンターに着くと、忙しく動いていた職員達が全員一礼し、また仕事に戻っていく。 その中から一人だけ、にこやかに微笑みながら近づいてくる女性がいた。 「二人とも、お久しぶりです。お変わりないようで」 優しい声色の女性に、ロウガはすっと目を細めた。それにウルは若干、不機嫌になりながらも返事を返した。 「…………ファンさん、マスターは?」 「マスター?………あー、あれなら部屋で監禁………じゃなくて、仕事中のはずですよ。最近業務怠慢が目立って困ってるんですよねぇ」 顔に手を当ててため息をつく。 だがファンが言うとふわふわとした雰囲気のせいか、本当に困っているようには聞こえない。それがファンの特徴だ。 「…………そう」 「マスタールームへ行かれますか?」 「………うん」 ウルが頷くと、ファンはカウンターにある引き出しから鍵を取り出し、ウルに手渡した。 「……絶対に、逃がさないで下さいね?」
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