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マスタールームは、この洋館の二階、その一番奥に位置している。 そこは単なるギルド登録者では足を踏み入る事すら出来ないはずだが、二人は平然と階段を上がり、二階のマスタールームに向かっていった。 マスタールームの扉は普通よりも大きく、どことなく威圧感を放っていて、取っ手には何故か鎖が巻かれて厳重に鍵まで締められていた。それが、さらに扉を重々しくしている。 ロウガはその鎖をウルの代わりに取り外し、ガチャリと鍵を開けた。 扉を開けると、まず目に付いたのは、床が隠れるほどに乱雑にばらまかれた大量の書類。 壁伝いに大きな本棚が並び、正面には書類が積まれた机があった。 「誰だ、こんな時に来た馬鹿野郎は」 部屋の奥から不機嫌な、だがよく通る声が聞こえてきた。 言葉の一つ一つに不満が込められたような、気だるい声だ。 それからいきなり書類の山が崩れて、ようやく人の姿が目に入る。 座っていたのは、お世辞にも綺麗とは言えない風貌の男だった。 寝癖を直さずにいるような所々跳ねた髪、剃っていない無精髭、さらにはヨレヨレになってしまったローブを来た、三十路の男。 男は二人を見つけると、あからさまに嫌そうな顔をした。しまいには舌打ちまで始める始末だ。 「お前らかよ。まぁた厄介事じゃないだろうな」 「…………マスターは、厄介事が好き」 マスターと呼ばれた男は、ますます不機嫌な眼光をウルに向けた。
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