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篠原のすぐ後ろまで来ていた小柄な青年は
宇野宮 和史(26)
カズシと呼ばれる事も多いがカズフミという彼は、院卒の篠原より2つ年下だが、会社では同期だ。
「ウノ!ちょうど良かった!」
本社勤務の同期の中でも1番のゲーマーに会えるなんて。
Weeが当選した事といい、自分は何て運が良いのだろうかと思いながら、篠原は事の経緯を宇野宮に説明した。
「と、いうわけでお勧めのゲーム無い?」
宇野宮は一瞬も悩む事なく。
「Wee、売れば?音楽ギフト券、いっぱい買えますよ?」
と答えた。
…ごもっともである。
篠原は、自分がどうして今までその事に気付かなかったのかと思ったが。
ここで宇野宮の意見に従うと
「そんな事にも気付かなかったんですか?」
と、バカにされるのが目に見えている。
そして、何より。30分もゲーム売り場にいた事で意地になっていた。
「いや、俺もゲーム業界の端くれに生きる身として何かやりたいんだよ。」
そう言った篠原の真意を得意の千里眼で見抜いた宇野宮は『そう言うなら自社ゲームから始めるだろ、普通。』と思ったが。
篠原が意地になっている時には何を言っても無駄な事を知っているので、適当に目の前のソフトを手渡した。
「これなんかは、素人でも簡単に操作ができます。あとは、こっち。ゲームで遊びながら英語が上達します。まぁ…きょーさんの英語力では不要かもしれませんけど。」
篠原の手には、次々とソフトの箱が渡されていく。
「あのぉ…ウノ?俺、もっと“体感”っぽいやつがやりたいんだけど。」
篠原の申し出に宇野宮は大袈裟なため息を吐いた。
「それなら、あっち。こんなコーナーにいてもダメです。」
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