2/2
前へ
/46ページ
次へ
(嫌だよ。離れたくない……。) 「王子、交渉しましょう?」 心と裏腹に少女は笑って王子に話しかける。 「私がそっちに行くから皆を見逃して。」 (これで良い。これで良いんだ。皆が助かる。俺のこんな気持ちなんか考えちゃいけない。) 自分の思いを否定して、王子に要求する少女。 「お前が私と共に居るなら今は見逃す。自殺するならこいつらを責め滅ぼす。それでもか?」 王子は少女を見て笑う。 表情は凛として、少女は答える。 「それで良い。皆を見逃して。」 交渉成立。 (ごめん。約束守れそうにないわ。ごめん。ごめん。ごめんなさい。) 少女は去る直前、此方を振り返り一筋の涙を流した。 それは、少女の思いを全てこもった涙だった…。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加