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(嫌だよ。離れたくない……。)
「王子、交渉しましょう?」
心と裏腹に少女は笑って王子に話しかける。
「私がそっちに行くから皆を見逃して。」
(これで良い。これで良いんだ。皆が助かる。俺のこんな気持ちなんか考えちゃいけない。)
自分の思いを否定して、王子に要求する少女。
「お前が私と共に居るなら今は見逃す。自殺するならこいつらを責め滅ぼす。それでもか?」
王子は少女を見て笑う。
表情は凛として、少女は答える。
「それで良い。皆を見逃して。」
交渉成立。
(ごめん。約束守れそうにないわ。ごめん。ごめん。ごめんなさい。)
少女は去る直前、此方を振り返り一筋の涙を流した。
それは、少女の思いを全てこもった涙だった…。
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