2/2
前へ
/46ページ
次へ
(はぁ……。助けられませんでした…。触られた所も気持ち悪いですし。切り落としても再生しますからね…。) 「大丈夫か?」 緋い目の少女が女性に尋ねる。 「大丈夫ですよ。心配しないで下さい。」 女性はそれに対して笑う。 心と正反対の言葉を言って。 腰の後ろに持っている刀。 女性は一人になるとおもむろに刀を抜き、自分を切る。 (再生しなくて良いんですけどね。汚い体なんか…。) 女性は切る事を、刺すことを止めない。 (仲間を助けられない体なんか……。私が居る価値が分かりません…。) 女性は自己嫌悪と共に己を刺す。 仲間が気づいて止めても、碧の目は己を見据えて逸らさない。 (汚い体なら消した方が……) 【なら、闇へと来れば良い。そんな体で光に居続けるのか?】 女性の頭の中で声がする。 低い低い男の声は女性を蝕む。 女性は声を振り払うように頭を振るが、声が消える事はない。 女性は兄と巫女服の少女に頼んだ。 声を消して欲しいと。 (そうしないと、私は…堕ちてしまいそうですから。) 弱ってる女性に謎の声は悪魔の囁き。 女性から声が消えた後も、記憶に残った声は女性を蝕む。 (私は……) 迷いが生じる女性。 留めているのは、目の前に居る光の人たち。 女性は心配をかけないように、また笑う。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加