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(はぁ……。助けられませんでした…。触られた所も気持ち悪いですし。切り落としても再生しますからね…。)
「大丈夫か?」
緋い目の少女が女性に尋ねる。
「大丈夫ですよ。心配しないで下さい。」
女性はそれに対して笑う。
心と正反対の言葉を言って。
腰の後ろに持っている刀。
女性は一人になるとおもむろに刀を抜き、自分を切る。
(再生しなくて良いんですけどね。汚い体なんか…。)
女性は切る事を、刺すことを止めない。
(仲間を助けられない体なんか……。私が居る価値が分かりません…。)
女性は自己嫌悪と共に己を刺す。
仲間が気づいて止めても、碧の目は己を見据えて逸らさない。
(汚い体なら消した方が……)
【なら、闇へと来れば良い。そんな体で光に居続けるのか?】
女性の頭の中で声がする。
低い低い男の声は女性を蝕む。
女性は声を振り払うように頭を振るが、声が消える事はない。
女性は兄と巫女服の少女に頼んだ。
声を消して欲しいと。
(そうしないと、私は…堕ちてしまいそうですから。)
弱ってる女性に謎の声は悪魔の囁き。
女性から声が消えた後も、記憶に残った声は女性を蝕む。
(私は……)
迷いが生じる女性。
留めているのは、目の前に居る光の人たち。
女性は心配をかけないように、また笑う。
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