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(もう一人は嫌じゃ…。もう孤独に戻りたくない。)
そんな女性が一人の目を見て伝えるのは、逆の言葉。
「早く絶望に染まるが良い。」
(嫌だ。もう一人は嫌じゃ…。)
「早く堕ちるが良い。妾も共に堕ちてやろう。」
銀の髪が黒い着流しの上で揺れる。
銀の目は心に忠実で微かに泣いているように揺れる。
(一人にするな……妾にはお主しか居らぬ。どうせなら……共に堕ちようぞ…。もう一人は嫌じゃ。お主も一人にせぬ……。)
銀の目は微かに歪み、銀の髪は風に当たって揺れる。
(共に堕ちよう。妾と共に……)
「クスクス。良いじゃろう。早く絶望に堕ちるが良い。」
女性は微かに震える手を相手に伸ばした。
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