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(多すぎる…。かかるか…?) 敵に囲まれながら少女は思う。 手に破魔の力を纏い、敵を見据えて弓を引く。 「く…っ…」 後ろからの衝撃に思わずよろめく。 それは、少女の左腕を容赦なく切った。 (……クス。かかった。) 「琥珀!!」 後ろから使い魔である琥珀が現れ、敵に噛みつく。 少女の左腕はついてはいるが、あまり大丈夫と言える状態ではない。 (…っ……危なかった…。私はまだ死ねない。アイツもいる事だしな。) 琥珀の背に乗り、少女はまた弓を引く。 (次は皆を助けなければ……。) 己の腕から滴る血を気にせず、少女は弓を引く。 (痛いな……っ…。まだいけるか…?) その血は、漆黒の髪も袴もクリーム色をした琥珀の背中さえも真っ赤に染め上げる。 少女が無理に動かすせいで、治癒は追い付かない。 それでも、少女は弓を引くのを止めない。 それは皆を守りたい思いから…。
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