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奥菜めぐみ、中学生。
容姿端麗ってわけでもないけど、普通より整ってるつもり。
才色兼備でもなければ、秀でている才能もない。
しいて言えば、ちょっと運動が得意なくらい。
今日も部活の練習が長引いて、空はもう星が輝く時間。
手袋のしていない両手に白い息を吐きながら、問い掛けた。
「ねぇ、とあ?」
学校からの帰宅途中。
「んー?」
たまたま方向が一緒なだけで。
「私の彼氏役にならない?って別に彼氏でもいいけどね!」
彼氏に振られたばかりの私の気まぐれだった。
「いいよ、別に。って彼氏役ならな?」
まさか、と思った。
とあ。福沢叶亜。
同じ部活で、同い年。
友達曰く、モテるらしい。
……小学校の時はあんなに泣き虫だったのに、なんてね。
とあが彼氏だったら、周りに自慢できる。
そんな私のただの気まぐれだったのに。
なのに。
普通な私に彼氏……じゃなくて、彼氏役ができました。
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