恋愛ごっこ

2/5
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
奥菜めぐみ、中学生。 容姿端麗ってわけでもないけど、普通より整ってるつもり。 才色兼備でもなければ、秀でている才能もない。 しいて言えば、ちょっと運動が得意なくらい。 今日も部活の練習が長引いて、空はもう星が輝く時間。 手袋のしていない両手に白い息を吐きながら、問い掛けた。 「ねぇ、とあ?」 学校からの帰宅途中。 「んー?」 たまたま方向が一緒なだけで。 「私の彼氏役にならない?って別に彼氏でもいいけどね!」 彼氏に振られたばかりの私の気まぐれだった。 「いいよ、別に。って彼氏役ならな?」 まさか、と思った。 とあ。福沢叶亜。 同じ部活で、同い年。 友達曰く、モテるらしい。 ……小学校の時はあんなに泣き虫だったのに、なんてね。 とあが彼氏だったら、周りに自慢できる。 そんな私のただの気まぐれだったのに。 なのに。 普通な私に彼氏……じゃなくて、彼氏役ができました。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!