序章 ~旅立ちの夫婦~

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―2― 村長の家に呼ばれた若夫婦は、村長の家の客間で脳にべったりくっついて離れないさっきの出来事を思い出しながら、家の奥にいる村長を待っていた。 「待たせたな。」 二人の口は重かった。 「…いえ。」 「そうか。…今から2人に重要な話がある。心して聞いてくれ。」 ――未来、この地に天より異形のものが現れ、村に、のちに世界に災いをもたらすであろう。村で子無しの一番若い夫婦を村から逃がせ。のちに二人は天より子を授かり、子は試練を乗り越え、世界を救うだろう。 「…200年前に村を訪れた予言者が当時の村長にそう言ってこの書を置いていった。」 村長は夫婦の前に古びた地図を出した。 「ここにまず向かい、家を築き天の導きを待て、だそうじゃ。」
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