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村人の動きが止まった。
声の主は村長だった。
「…鬼とやら、わしはこの村の長を務めてしておる者じゃ。」
「うむ。」
「わしたちは、お主の命令に従い、この地に城を築けばいい。そうじゃな?」
「そうだ。」
「村の衆はみな、先の同胞の死に混乱しておる。これではまともな仕事もままならんじゃろ。…一日だけ時間をくれないじゃろうか。」
「私から逃げる計画を立てても無駄だぞ。逃げる素振りを見せれば貴様らを殺し、別の村に変えるだけだ。」
村人は絶望していた。
「わかった。逃げたりはせん。ただわしは村の衆を落ち着かせたいだけじゃ。」
鬼は村長を睨み付けていた。村長は落ち着いた目で鬼の眼光を受け止めていた。
二人の沈黙は村人たちには永遠とも思える時間だった。
「ふん、肝の座ったじいさんだ。ぎゃーびー騒がれてもうっとおしいからな。明日日の出にまたくる。その間、ずっと監視しているからな。変な気は起こすなよ。」
そういうと鬼は村の外の山の中に入っていった。
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