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ここは妖怪の山。
この山には天狗や河童が住んでおり、里とは違って独自の文化を発達させている。
そしてここに一人の悩める天狗がいた。
名前は姫海棠(ひめかいどう)はたて。
栗色の髪を紫のリボンでツインテールに纏めており、襟に紫のフリルが付いたブラウスと黒と紫の市松模様のスカートを着用している今時の鴉天狗。
1階建ての木造建築の家に彼女は住んでいる。
「はぁ……今度の記事のテーマ何がいいかなぁ~」
彼女は新聞記者だ。
花果子念報(かかしねんぽう)という新聞を作っているが、あまり売れ行きがよろしくない。
「取材も最近は出来るようになったけど、やっぱり念写も必要よね」
彼女は「念写を使う程度の能力」の持ち主である。
念写とは彼女が持つ折りたたみ式カメラにキーワードを入力することでそれに関連する写真が表示されるという便利な機能だ。
「はたて……また念写しているの?」
その背後から聞こえた声にはたてはビクッと反応して振り返ると一人の鴉天狗がいた。
「あ…文っ!!」
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