53人が本棚に入れています
本棚に追加
おや。珍しいことに、傲岸不遜な大天使様が非を認めている?
どういう風の吹き回しだろう。ゲームのし過ぎで頭のネジでも吹き飛んだのか。
『君に与えたのは嵐の権能。しかし、君は蛇殺しの剣を行使しただろう?』
言われて、川を分断するという非常識な被害をもたらした力が思い浮かぶ。
あれには酷い目に遭った。和臣の窮地に駆けつけた少女まで巻き込んでしまったのだ。
自己嫌悪に苛まれる和臣に、天使は超然として告げた。
『……あれは、こちらの手違いだ。何の因果か、君には与えられるはずのない神力までもが授けられていた』
「それはつまり、蛇を倒した力が俺にあったのは、天使のミスってことか?」
天使は神妙な面持ちで頷く。この天使にこんな表情があったとは驚きである。
だが、蛇殺しの権能が偶然の産物だったとは。
もしあれがなかったら、和臣はやられていたかもしれないというのに。
これも神の思し召し……というやつか?
天使には文句しか思いつかないが、神様には感謝しておきたくなった。
『そこで、だ』
やや語調を強めたミカエルの言葉で、和臣はハッと我に返った。
神への感謝を邪魔するとは、不届き者め。
『幸いにも、君は最近神を殺している。それも水を司る蛇の神だ。本来、あの程度の神を倒した程度では君に権能は与えられないのだが……』
スサノオ。彼は日本のみならず、世界にも知られるビッグネームな神様である。
最初のコメントを投稿しよう!