炎天下、西よりの来訪者

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 日本呪術師の結集であり、日本政府の陰で暗躍する内閣府直轄の秘密結社【極東機関】の魔術師なのだ。  そんな少女が、なぜ和臣の傍にいるのか。それは──語りたくない。深い事情とだけしておこう。 「任務って……。誰かに護られるような大それた人間じゃないよ、俺は」 「あなたは、護るべき方です」  憮然として唇を尖らせる和臣にも、十華は変わらない態度で返してくる。  この少女は真面目と言うか……自己主張がないのだ。言われれば従い、行動原則にしている。  そういえば、髪型も眼鏡も上司の指示とか。和臣の頭に飄々とした日本結社のエージェントの姿が浮かぶ。  あの人は今何をしているのだろう? 機関と古我屋のパイプ役として、よく家にも遊びに来るようになっていたが──。 「私なら、ここにおりますよ」 「うわぁっ?」  突然。すぐ背後から低い声で囁かれて、和臣は飛びあがらんばかりに驚いた。  バッと振り返ってみると、そこには悪戯に成功した子供のような笑みを浮かべる男の姿。今しがた思い浮かべた像と重なるヨレヨレの黒スーツ。  怪しい魔術師の一員。東國宏がそこに立っていたのだ。 「東さん、なんでここに? ……というか脅かさないでください」 「いやぁ、すみません。何やら私のことを考えているようでしたので、ここはお約束かな、と愚考致した次第です」 「そんなもん守らなくていいんですよ。もっと普通に登場して下さい」  楽しそうに悪びれる東に和臣は文句をつけた。しかし大した効果はなさそうだ。  東は改めて和臣に一礼すると、今度は十華に話しかける。
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