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天使の答えはノーだった。どういうことだ?
『我々が会議したのは、君が先日行使に至ったスサノオ神の権能についてだ』
「どういうことだよ?」
『神殺しの実現に際して、我らが神殺しに与えるのは打倒された神の、神力のごく一部だ』
ほんの一部。それくらいしか、矮小な人間は許容できないだろう。
ミカエルはそう鼻で笑った。真面目な話題でも人を見下すことをやめない天使の一貫した態度に、和臣はある意味感心すらしてしまった。
『君に与えた権能は、本来スサノオ神の嵐としての性格に由来する力だった』
「その通りだろ。俺はその力を使ったぞ」
四月朔日の手先として襲撃してきた呪術師達を返り討ちにしたのは、その力によるものだ。
氷怜との決着にも一役買った。それが、どうかしたのか。
『チッ』
「舌打ちすんなよ。何なんだよ、あんたは」
『君の理解力の乏しさに嫌気が差しただけだ。気にするな』
「気にするよ! 俺とあんたらとは常識が違うんだから、自分本位の考えで話を進めるな!」
神を殺せだのとのたまう天使は、これだから相手に困る。
天使というのはどれだけ傍若無人な連中なのだろう。
他にもミカエルのようなのがいるのかと思うと──和臣は暗澹たる気分になった。
『……まあ、いいだろう。今回は我々に非がある』
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