芽生え→メンバーから特別へ…

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アイツの匂いは独特だった 最初は苦手だったけど… 苦甘習慣化 ねぇ剛…タバコ俺の前で吸うのやめてよ…なんて付き合い始めは嫌味ばっかり言っていた俺 そんな俺の言葉に何度剛は不機嫌になったことか だけど今はそんな匂いが好きでたまらない 剛の愛用する煙は苦い中にも甘い香りが漂う キスをするときも 同じベットに寝るときも 身体を寄り添わせるときも その匂いが付いてきた 「なぁ…健…俺って臭いかなぁ??」 何の予告も無しに聞いてくる剛に俺は目を丸くしてしまった いきなり「臭いかなぁ??」何て聞かれても… 『え??何でそんなこと聞くの??』 俺はそうとしか答えられなかった剛は俺の答えに眉間に皺を寄せると重たそうに口を開いた 「いや…な…フットサルの友達にお前煙いとか…香水臭いって言われたからさぁ…健は毎日居ても文句言わねぇなぁ…って思ってよぉ…」 照れたような笑みで俺を見る剛の顔が愛しくて仕方なかった 『最初は勘弁してって思ってたから結構それが喧嘩の原因とかになってたけど…今は別に我慢してるわけじゃないよ??今の剛の匂いが心地いいんだ』 洗い浚い全てを話してるうちに俺が笑みを溢して居るのに気付いた 俺の気付かない所で剛の存在は大きかったみたいだ それを見た剛は安心した顔で俺を見つめると側に寄り深いキスを落とした 水音がピチャピチャと部屋を満たしていく 次第に俺と剛は身体を重ねあった 今頃気付いたけど…苦い匂いの後に付いてくる甘い匂い… 剛は男物の香水を毛嫌いする 「華奢な俺にこんなゴツイ匂いは似合わねぇ」 が剛の口癖…何度俺は高い香水をネットに流したか それだけこだわりのある剛は絶対にユニセックスか女物しか付けないって徹底してる 剛が好む匂いが甘ったるい香水だから…タバコの煙と香水の甘ったるさが俺には丁度入り混じって心地良いのかも知れないな 毎日居るから感じなくなって習慣化された剛の香り 剛が言わなきゃきっと俺はお気に入りの香りを知らないままだったかも知れないな…
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