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医者「残念ながら御臨終です…」
その一言は呆気ない…
僕らはその一言と引き換えに大切な人たちの命を奪われていった
あれは…涼しくなり始めた秋口の昼下がりだった
俺はこの坂本家の長男として命を受けた昌行です
何でこうなったか…俺も分からない
母「ねぇ??昌行ぃ、本当にごめんねぇ??」
昌行「やめろよ…俺の家でもあんだからよ…」
父さんと母さんが久々に旅に行きたいと相談され、俺は一人暮らしをしてる家から実家に戻った
旅好きな両親は昔から良く旅をしていた
それが俺にも大きな影響を与えていた
そのために俺は快く留守を引き受けたのだ
それが…まさか両親と兄弟たちとの最後の団欒とも知らずに
寒さも厳しくなった冬の空
俺も弟たちも空虚だった
誰も何も言わない静かな家は線香の煙が充満しているだけだった
その数日後から俺は一人暮らしの家に弟たちを置いて帰った
なんせ…仕事が溜まってしまった事実は何にも代えることが出来ないのだ…
昌行「博…快彦ちょっと…」
俺は自宅に戻る前のチビな弟たちを寝かした後に成人を過ぎた弟たちをリビングに呼び集めた
快彦「兄ちゃん…俺ら…どうしたらぃぃの…??不安だよ…」
5歳年下の快彦が眉間にシワを寄せて俺を見つめた
快彦はこの家でいつも元気なムードメーカーだ
そんな快彦の不安そうな顔…久々に見て事実の重大さに改めて触れてしまった
昌行「快彦…悪いな…今の俺が頼れるのはお前ら二人なんだよ…俺も何とか都合を付けて早いうちに戻るよう頑張るから」
博「分かってる…けど…」
1歳下の博は俺の気持ちが一番分かるやつだ
今だってちゃんと俺の不安にも気付いてる
昌行「准一のことなら大阪の父さんのお兄さんに預かってもらうことになってる…それも必ず連れて帰れるように頑張るから…お前らも頑張ってくれ…頼む…」
博・快彦「…」
二人は俺の話を真剣に聞き俺の考えに黙って深く頷いた
新しい生活に慣れるわけもなく…現実も逃避したくなる…生きてる意味も手探りな今は俺を筆頭に博、快彦の三人でこの家を支える新しい道を開くしかなかった
昌行「それじゃあ…また明日から大変になるかもしれない…それも承知で頑張ろう」
三人は一杯の酒を交わしそれぞれの部屋に入り眠りに就いた
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