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かくて欧化主義と国粋保存主義との対立を来し、思想は昏迷に陥り、国民は、内、伝統に従うべきか、外、新思想に就くべきかに悩んだ。然るに、明治二十三年「教育ニ關スル勅語」の渙発せられるに至って、國民は皇祖皇宗の肇国樹徳の聖業とその履践すべき大道とを覚り、ここに進むべき確たる方向を見出した。
然るに欧米文化輸入の勢いの依然として盛んなために、この国体に基づく大道の明示せられたにも拘らず、未だ消化せられない西洋思想は、その後も依然として流行を極めた。即ち西洋個人本意の思想は、更に新しい旗幟の下に実証主義及び自然主義として入り来り、それと前後して理想主義的思想・学説も迎えられ、又続いて民主主義・社会主義・無政府主義・共産主義等の侵入となり、最近に至ってはファッシズム等の輸入を見、遂に今日我等の当面する如き思想上・社会上の混乱を惹起し、国体に関する根本的自覚を喚起するに至った。
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