序章『いつも通りの喧騒』

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 自動人形はふむ、と呟き、ダエルに視線を合わせる。 「構いません。むしろ、あの方がいるほうが邪魔になります」  確かに、と周りが呟いた。その中、龍蔵が、 「あ、あれ?たしか意見がある時は挙手するんじゃ……?」 「Judge.それがどうかしましたか?龍蔵様」 「い、いや。今のダエル殿のは意見なのではないだろうか」  あっ、とダエルが思い出すが、 「Judge.ダエル様のは意見では無く、“確認”です」 「そ、それ、差別ではないか!?某、なにかしたのか、そうなのか!?」  皆に訊き回る忍者。もはや忍者としての体裁が欠片も無かった。      ●○● 「さて、皆様。準備は十全でしょうか?」  Judge.と返答が返ってくる。 「では、ルールをおさらいします。まず」 1.私に攻撃を“当てる”こと 2.手段は何を用いても良い 3.チームワークは大切に 4.手加減はしないこと。こちらも手加減はしないから 「以上です。意見や質問はありますか?ある方は挙手を──龍蔵様だけ」 「なんで某だけ挙手!?」  無視した。 「無さそうですね。因みに厳密な制限時間はありませんが、第三番艦に着くまでが授業です。Judge.?」  色々ツッコミ所があるが、スルーされるのが見えていたので、突っ込まない。 「あの──色々ツッコム所があるんだが」  ゆ、勇者がいた!と誰もが思ったが、 「では、授業を始めましょうか」  やはりというように無視だった。それも見事な。 「む、無視された!?」 「気にするな、南雲殿。──某も無視されたのだから」  南雲・葵の肩に手を置き、ウンウンと頷く。 「お前にだけは同情されたくない!!」  激昂し、あからさまに肩を落とした。
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