第一章 揺らめきと予兆

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 翔がそこを通り過ぎようとすると、腰の辺りまである長い黒髪──と言っても、先の方を白いリボンで結んでいるが──を揺らしながら、一人の少女が降りて来た。 「あ、はよー椎名」  降りて来た少女の名は水面杜 椎名(みなもと しいな)。先程の水面杜神社の一人娘である。ちなみに二人は、いわゆる幼なじみという関係でもある。 「…………こんにちは、翔」  「…………」 「…………」 「やっぱり椎名もそう言う?」 「…………私もってことは他の誰かにも言われたの?」 「裕貴にも同じようなこと言われた……。でも椎名に言われた方がグサッとくるぞ……」 「…………じゃあ次から気を付けなさい」 「はい……」 .
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