第一章 揺らめきと予兆

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 その時、突然翔の視界が揺れだした。 「っと…………」  翔の体が少しふらつく。 「…………どうしたの?」 「いや、何でもない。多分まだ寝起きで目が霞んでるだけだと思う」  そう言う翔の視界の揺れはすでに収まっていた。 「…………そう。…………ならいいけど」 「それより早く学校に行こうぜ。椎名も誘われたんだろ? もし裕貴達待たせることになったら悪いしな」 「…………そうね」  二人は他愛もない会話をしながら、学校へと歩いて行った。      ***  少しすると、翔達が通う私立御明(みあけ)高校が見えてきた。校舎は然程汚くなく、敷地は広い。生徒の人数も多く、さらには理事長の暁 源次郎(あかつき げんじろう)の意向で留学生なども受け入れている。
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