第一章 揺らめきと予兆

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 その校門前に二人の男女が立っていた。 「よう、間に合ったな翔。椎名ちゃんも一緒か」  話し掛けてきた男の名は櫻川 裕貴(さくらがわ ひろき)。先程翔に電話を掛けた人物だ。背は翔よりも高く、黒髪に少し混じった茶髪をしている。そして容姿は良い。俗に言うイケメンである。 「翔君、椎名ちゃん、こんにちはです」  もう一人の少女の名は磯城井 遥(しきい はるか)。藍色の髪に少し幼い顔立ち。背は低く、眺めていると小動物を見ているような感覚になる子だ。 「おっす二人とも」 「…………こんにちは」  翔と椎名も返事を返す。 「あれ? 灯夜(とうや)は?」 「あー何かさ、電話したらあいつ用事があるとか言って来れないって」
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