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ジ…ジジ……ジ……
ある部屋の景色が小さく音を発しながら揺らいでいる。
「うーん……」
その音に気付いたのか、部屋の主である夕凪 翔(ゆうなぎ かける)は自身の赤みがかった髪を掻きながら目を覚ました。
「ん……何の音だ?」
翔は目を擦りながら辺りを見回すが、何もない。
「うん? 何か揺れてる…?」
もう一度目を擦る。
「気のせい……? っと鳴ってたの携帯か」
どうやら先程の音は携帯の着信音と納得したようだ。そして携帯はまだ鳴り続けている。
「はいはい今出ますって」
そう言いながら翔は通話ボタンを押して耳に近付けようと──
『出るの遅いわっっ!!』 ──して直ぐに離した。
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