第一章 揺らめきと予兆

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 ジ…ジジ……ジ……  ある部屋の景色が小さく音を発しながら揺らいでいる。 「うーん……」  その音に気付いたのか、部屋の主である夕凪 翔(ゆうなぎ かける)は自身の赤みがかった髪を掻きながら目を覚ました。 「ん……何の音だ?」  翔は目を擦りながら辺りを見回すが、何もない。 「うん? 何か揺れてる…?」  もう一度目を擦る。 「気のせい……? っと鳴ってたの携帯か」  どうやら先程の音は携帯の着信音と納得したようだ。そして携帯はまだ鳴り続けている。 「はいはい今出ますって」  そう言いながら翔は通話ボタンを押して耳に近付けようと── 『出るの遅いわっっ!!』    ──して直ぐに離した。 .
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