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プロローグ
「おんちゃん・・・あんな、死んだら、どうなるん?死んだら、おんちゃんの事も、おかあの事も忘れてしまうんやろか?天国とか地獄とか、そんなんやないで。死んでもな、おんちゃんと、おかあに会えるんやろか?なぁ、おんちゃん!教えてぇや。おんちゃん何でも知ってるやん。会えんのやったら死にたくないんや。死ぬん嫌や。死ぬん怖い。なぁ、おんちゃん!おんちゃん!・・・」
「やかましいわ!あのな、教えてやるわ。お前はな、一雄はな、死んだらゴキブリに成るんや。ほんでなぁ、バン!・・・や!一発や!一発で逝ってまうんや!解ったかボケ!」
「嫌や!そんなん嫌や!ゴキブリなんかに成らへん!おんちゃんと、おかあに会いに行く!会いに行くんや!・・・」
「やかましい言うてるやろ!ボケ!」ゴン!・・・
「痛っ!・・・なんで殴るん?聞いただけやん!おかあ!おかあ!おんちゃんに殴られた!殴られた!・・・」
青い過ぎる位の澄んだ空に浮かぶ雲は、まるで家族が幸せという散歩道を、ゆっくり、ゆっくり手を繋いで歩いてるみたいな空だった。
2009年9月5日早朝。午前7時20分。
即死だった・・・
一雄。聞こえるか?死んでもゴキブリに成る事は無いからな。いつか天国で、必ず会えるからな
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