伝説の始まりに-錯覚-

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「そうだった勇兄のこと父さんが探してる」 「理事長が?」 「うん携帯何度もかけても出ないって少し怒ってた」 確かに携帯は職員室の自分の席にある スーツのポケットの中においたままだった でもそれだったら校内放送でも使えばいいものなのに… 「多分仕事では無いんじゃないかな?私も呼ばれてるし」 「お前も一緒に?」 「うん、だからまだ休みなのにこれ着てここにいるの」 そういって卸したての制服をヒラヒラさせた 確かに高等部新入生である龍子の新学期は 入学式がある明日からだ 「いったい何が…」 いぶかしげに眉根をよせる勇士に 龍子は少し不安げに目を細めてつぶやいた 「もしかしたら新しい『目覚め』があったのかも…」 「…なんでそう思うんだ」 龍子の言葉に驚きつつも 冷静に勇士はたずねた 「よくわからないけど今朝から感じるんだ 自分と良く似た『気』の存在を」 そういって不安げに胸元で手を握る龍子 「もし本当にそうだとしたら…」 勇士はもう一度空を仰いだ (龍香…俺たちはお前に一歩近づけるのか?)
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