紅い館と目覚めた者(前編)

2/32
前へ
/392ページ
次へ
「………ん」 僕は鳥のさえずりで目を覚ました。 「…………そうか」 僕は昨日疲れはてて、ろくに夕飯も食べずにさっさと寝たんだった。 「一蹴起きた?」 霊夢が僕の部屋に入ってきた。 「おはよう霊夢…」 「おはよう一蹴、朝ご飯出来てるわよ、食べましょう。一蹴、昨日全然夕飯食べてないからお腹空いたでしょう?」 「うん、まぁね」 僕は布団をたたんで、霊夢と一緒に居間に行く。 テーブルの上には食事が用意されていた。 「どうぞ」 「うん、いただきます…」 僕が食べ始めるのを見ると、霊夢も合掌をして食事を食べ始めた。 「「………………」」 僕たちは沈黙の中、食事を食べ続けた。 ふと霊夢が、 「一蹴、体大丈夫?」 と言った。無理もないだろう、だって昨日僕は、あの後ほとんど意識がなかったのだ。 紫さんと霊夢曰く、“力”を急に使ったことによる副作用らしい。 「もう平気だよ、霊夢。それにしても…」 僕は胸ポケットから一枚のカードを出す。 「まさか僕が『こうなる』とは思わなかったな…」 「それは私も同感よ、一蹴」 そして僕は昨日の事を思い出す。
/392ページ

最初のコメントを投稿しよう!

237人が本棚に入れています
本棚に追加