プロローグ

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あたしは…好きだった。 ステージで歌ってるあなたが大好きで 誰にも負けないくらい好きで ずうっと見てきたのに まさかあなたがこんな人だったなんて でもあたしは…まだ好き。 ★ 繁華街のはずれにあるライヴハウス。 今日はそこでビジュアル系バンド『Aventure』のライヴが行われる。 「やばぁい、超楽しみー」 入り待ちをするバンギャの中に、私「真田飛鳥」も居た。 Aventureファン歴1年、ピチピチの高校3年生だ。 バイト代の半分は、Aventureのために使っている。 あたしの1番のお目当ては、ヴォーカルのラブくん。 どちらかといえば俺様系どS。 たまに見せる笑顔にきゅんとする。 「あっ来たよ飛鳥!」 一緒にライヴに来ていた莉奈に言われ、私は道路の先を見た。 「本当だぁっ!」 いつもメンバーが乗って来るワゴン、運転しているのはベース担当のレイヤだ。 「きゃあーっ!ラブくぅーん! 愛してるーっ!」 ワゴンから楽屋口に移動する数メートル、あたしはラブくんにプレゼントを渡そうと必死に手を伸ばす。 「ありがと、ありがと。俺も愛してるよっ」 ラブくんが微笑みながらライヴハウスの中に入って行った。 「あ~今日も渡せなかった…」 あたしは毎回ライヴに来るとき、ラブくんにぬいぐるみをプレゼントしている。 といっても、直接渡せたことは無いから、いつもスタッフさんに渡してもらうんだけど。 「はあ~やばいなあ~、リオくんカッコイイ~」 莉奈はギターのリオくんファンだ。Aventureのメンバーは他に、ギター夢ちゃんと、ドラムのジョーくんがいる。 もちろん1番人気はラブくん。 リオくんもレイヤも夢ちゃんもジョーくんも憧れるが。 「ねぇ飛鳥、ライヴまでどうする?結構あるよー?」 「あーそうだなぁ…カフェでも行こっか?」 「そうだねぇー、ああっちにスタバあったよね。行こ~」 そうして私たちはライヴハウスを後にした。
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