カギ

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「えっと、誰ですか…?」 恐る恐る尋ねてみる。 怖い人だったらどうしよう… 『あ、すいません。カギ拾ってもらった者です!』 あ、あのカギの男の人かっ! なら安心。 スーツ着て眼鏡掛けて、優しそうな人だったし。 「あっカギ!戻って来ましたか?」 『はい、ありがとう本当に!もうすぐで締め出されるとこだった』 電話の向こうで何人かの笑う声がする。 友達といっしょなのかな。 『あ、俺笠原って言います。笠原竜。よろしく』 「あたし、真田飛鳥です!」 『飛鳥…?』 「え?」 『いや、なんでもない。飛鳥ちゃん今度の日曜日ヒマかな?』 竜さんは思い付いたようにあたしに聞いた。 たしか日曜日は何も無かったはずだ。 「予定は入って無いです」 『ほんと?じゃあお礼も兼ねて食事にでも行かない?』 「えっ?」 『やっぱ嫌かな?』 正直、そんなに好みでも無いし困る…これがラブくんなら喜んでだけど、相手はただのサラリーマンみたいな男の人だ。 『普通やだよね、ごめんね』 でもなんか気になる。 何故かこの人と食事に行きたい。 「…行きます!」 『本当に?よかった!じゃあまた連絡するよ、じゃあね!』 携帯の奥でツーツーと音がする。 これでよかったのか、あたしはちょっと戸惑っていた。
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