【最初の、きっと】

11/50
前へ
/164ページ
次へ
もう何冊目になるかは分からないけど、 この『1日あった事を何でも書くノート』は、 あたしの必需品だ。 今日みたいに雨が降るとか、高校で誰とどういう約束をしたとか、とにかく何でも書いて、いつでも見るようにする。 そのおかげで、あたしのこの記憶障害は最小限の人だけが知ってる秘密だ。 もちろん、このノートだけじゃみんなに隠し通すのは無理。 ずっと隣に紘美が居て、あたしをサポートしてくれるから、こうやって高校にも行けるんだと思う。 「……で、紘美。古文の宿題って範囲どこ?」 「もう。バカ菜那ちゃんめ」 またイヒヒッと2人で笑って、あたしは紘美と帰路についた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加