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何故こんな人を嘗めきった調子乗り共に私が下手に出なければならないのか。
――仕方ない、足を撃ってそのスキに逃げるか。
私がそんな事を考え、服の中に忍ばせていた拳銃に手をかけた――その時だった。
『一文を挿入。
行動を完結』
新たな声だ。
遂に私は拳銃を引き抜き、彼等に向けた。
私自身直ぐにでも引き金にかけた指に力を込めようと考えていた。
しかしそれを取り止めさせる出来事が起きる。
「ったくよ、そうやって最初から素直にそうしてりゃ良いんだよ。
そしたら、俺達も良い子ちゃんでいられるのに」
私はその時何が起きたのかさっぱり解らなかった。
彼等が何と背中を向けて満足気に去って行こうとしているのである。
しかし私の荷物も財布も何も取られていない。
なのにどうして彼等はこんなにも満足気なのか――!?
「危なかったね、お兄さん。
大丈夫?
多分大丈夫だよね。
だって俺の素晴らしき活躍によって助けられたんだから」
少年だ。
私よりも若い少年。
見た目は年相応の少年なのだが、似つかわしくない大きな白いハード・カバーの本を持っている。
疑問に思う事があるが、私は一先ず礼を言う事にした。
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