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聞くのをやめる事にする。
――とそこに。
「あ、こんな所にいた。
まったく直ぐにどっか行っちゃうんだから。
探す私の身にもなってくれない?」
突然現れたのはまだ成人しきっていない少女だった。
どちらかと言うと小柄、身長は160位だろうか。
それと長く伸ばした艶やかな黒髪。
アジア系というのが推測出来る。
「やぁサキちゃん。
別に探しに来なくったって、待っててくれたらちゃんと戻ったのに」
「待ってたらクオンは一生戻って来ない!」
「酷ッ!
人をまるで方向音痴みたいに――」
はぁ、とサキが嘆息する。
そして腰に手を当て、言った。
「だってそうじゃない。
たかが100mの距離で迷子になるんだから……
――あれ、こちらのかっこいい方は?」
クオンと顔を見合わせたまま、サキがアーサーを指差す。
「クオン君に先程助けて頂いた者です。
私の荷物が狙われていて、彼は私のピンチを救って下さったんです。
本当に助かりましたよ。
――あ、アーサー=タイム・トルストイです。
貴女は?」
「サキ=シェヴェスタ・ヒトトセと言います。
呼び名はサキで良いですから。
よろしく、アーサーさん」
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