第一章

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聞くのをやめる事にする。 ――とそこに。 「あ、こんな所にいた。 まったく直ぐにどっか行っちゃうんだから。 探す私の身にもなってくれない?」 突然現れたのはまだ成人しきっていない少女だった。 どちらかと言うと小柄、身長は160位だろうか。 それと長く伸ばした艶やかな黒髪。 アジア系というのが推測出来る。 「やぁサキちゃん。 別に探しに来なくったって、待っててくれたらちゃんと戻ったのに」 「待ってたらクオンは一生戻って来ない!」 「酷ッ! 人をまるで方向音痴みたいに――」 はぁ、とサキが嘆息する。 そして腰に手を当て、言った。 「だってそうじゃない。 たかが100mの距離で迷子になるんだから…… ――あれ、こちらのかっこいい方は?」 クオンと顔を見合わせたまま、サキがアーサーを指差す。 「クオン君に先程助けて頂いた者です。 私の荷物が狙われていて、彼は私のピンチを救って下さったんです。 本当に助かりましたよ。 ――あ、アーサー=タイム・トルストイです。 貴女は?」 「サキ=シェヴェスタ・ヒトトセと言います。 呼び名はサキで良いですから。 よろしく、アーサーさん」
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