第一章

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俺はもうガキじゃねぇっつうの」 「私より一つ下なんだから、十分ガキじゃない。 だから私が面倒見て上げなきゃ」 「さっさと離れろ。 お、お前のデカイ胸が当たってんだよ!」 クオンがサキを突き飛ばす。 ようやく離れる事が出来たクオンが、肩で呼吸をしていた。 そして――…… 「アハハハ、赤くなった。 クオンがまた赤くなった。 あと鼻血垂れてるよ」 サキがクオンに人差し指を向けて言う。 「へ?」とクオンが言った。 そして自分の鼻先に指を持って行く。 「……お前のせいだぞ、このバカ女!」 クオンがベッドに倒れ込む。 「あぁ、暑いなぁ…… 人間寒さじゃ死なないけど、暑さなら死ねる気がする」 「仕方ないよ、今の季節じゃ。 じゃあ私、シャワー浴びて来るね。 クオンを探すので汗掻ちゃった」 サキが言う。 クオンがベッドに倒れ込んだ姿勢のままサキの方を向いていた。 「――一緒に入る?」 サキが服に指を引っ掛け引っ張り、胸元をチラつかせながら。 「入るかバカ! 行くんだったらさっさと行けよ、俺はここにいるから」 はいはい、とそう言ってサキが出て行った。 クオンは一人残された部屋でゴロンと寝返りをうつ。
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