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嶺人は勝利を確信した。
昨夜の内に親にバレない様に鍵を付け替えたのが幸いした。
僅かな時間稼ぎの内に、窓から脱出しようと足を掛けたところで―――真横の壁が爆砕した。
至近距離で打ち上げ花火が爆発したかのような破砕音とともに、嶺人が宙を舞い巨大な壁穴から雪月が現れた。
床にはゴ……嶺人が先の破砕片と共に転がっている。
「何やってるの、そんな所で」
雪月は床に転がるゴミに告げる。
「……」
「まったく。また、こんなに部屋を散らかして」
「誰のせいだと思ってんだ」
勢いよく起き上がり破砕片が嶺人の周囲に不規則に降り注ぐ。声をあらげ抗議するのもどこ吹く風、
「なによ、私のせいだと言いたいの」
金髪を掻きあげ、まったく悪ぶれずに雪月は言った。
あまつさえ、
「すぐ人のせいにして。悪い癖治したほうがいいよ」
諭された。
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