日常

4/27
前へ
/118ページ
次へ
嶺人は勝利を確信した。 昨夜の内に親にバレない様に鍵を付け替えたのが幸いした。 僅かな時間稼ぎの内に、窓から脱出しようと足を掛けたところで―――真横の壁が爆砕した。 至近距離で打ち上げ花火が爆発したかのような破砕音とともに、嶺人が宙を舞い巨大な壁穴から雪月が現れた。 床にはゴ……嶺人が先の破砕片と共に転がっている。 「何やってるの、そんな所で」 雪月は床に転がるゴミに告げる。 「……」 「まったく。また、こんなに部屋を散らかして」 「誰のせいだと思ってんだ」 勢いよく起き上がり破砕片が嶺人の周囲に不規則に降り注ぐ。声をあらげ抗議するのもどこ吹く風、 「なによ、私のせいだと言いたいの」 金髪を掻きあげ、まったく悪ぶれずに雪月は言った。 あまつさえ、 「すぐ人のせいにして。悪い癖治したほうがいいよ」 諭された。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加