日常

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「うひぃ―――――っ」 既に何度目かになる強風に煽られ嶺人は悲鳴をあげた。目にはうっすらと涙が浮かんでいる。 体勢は半分を登ったあたりから、足場にしがみつくように四つん這い。階段の隙間から見える景色に膝が笑っていた。 もう二度と来ないからな!!と心の中で悪態をつき、最後の一段を踏んだ。 重い鉄の扉を開け、中に入ると扉の周囲にいた生徒全員の視線に晒された。 そんなに下級生が珍しいのだろうか? おかしいな何度か来ているはずなのに。 不信に思うが深くは考えないようにしよう。こんな所で騒ぎを起こせば雪月が飛んでくる……いや、もう動き出してるかもしれない。 万年金欠金好き野郎になけなしの諭吉さんを渡したが、雪月と嶺人の懐事情には天と地の差がある。 嶺人は悪寒にかられるように目当ての人物のいる4-15に向けて走り出した。 3-25の教室では嶺人の予想どうり、諭吉さん大好き人間は雪月に丁度、買収された所だった。
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