41人が本棚に入れています
本棚に追加
「うひぃ―――――っ」
既に何度目かになる強風に煽られ嶺人は悲鳴をあげた。目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
体勢は半分を登ったあたりから、足場にしがみつくように四つん這い。階段の隙間から見える景色に膝が笑っていた。
もう二度と来ないからな!!と心の中で悪態をつき、最後の一段を踏んだ。
重い鉄の扉を開け、中に入ると扉の周囲にいた生徒全員の視線に晒された。
そんなに下級生が珍しいのだろうか?
おかしいな何度か来ているはずなのに。
不信に思うが深くは考えないようにしよう。こんな所で騒ぎを起こせば雪月が飛んでくる……いや、もう動き出してるかもしれない。
万年金欠金好き野郎になけなしの諭吉さんを渡したが、雪月と嶺人の懐事情には天と地の差がある。
嶺人は悪寒にかられるように目当ての人物のいる4-15に向けて走り出した。
3-25の教室では嶺人の予想どうり、諭吉さん大好き人間は雪月に丁度、買収された所だった。
最初のコメントを投稿しよう!