王と死神と

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「ええ、王の想像通り、“奴”ですよ。現在はコラムクランプを抜けた後アーク大陸付近で殺戮の限りを尽くしながらここ、クラムシエルへと順当に歩を進めております」 「死神め! ええい、いまいましい! 差し向けた刺客はどうなった!? 中には屈強な者もおった筈じゃぞ!」  矛盾を悪態吐きながら拳を振り下ろす。 「皆、“奴”に。ボルトの応戦もあり“奴ら”の内三人までは瀕死の状態に追い込んだのですが」  やれやれと言った様子で手を横にするキース。 「一人でも残せば“奴ら”は忽ちの内に復活します。例え全滅させた所で翌日には復活し瞬く内に再び牙を向く事でしょう。しかも、前回よりも遥かに成長して・・・・・・。奴らには道理が通用しません」 「所持金の半分を失って、か? ええい! 我らよりもよっぽど化物では無いか!」 「はい、それに加え我々が“奴”に勝てぬ理由があります」  言われ無くてもとうに気付いている。世の道理を踏みにじる存在。“勇者”  そしてが我々魔物だと言う不条理。それはどうあがこうが覆せるような物では無かった。
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