死神と勇者と

4/4
前へ
/25ページ
次へ
 突如として洞窟内に振動が響いた。地に横たわる砂利が、ふわりと舞い上がる。体は左右に振られ、耐えきる事が出来ずに思わず剣を支えに膝を付いてしまう。  見渡せばさっきまでいたメタスラ達はいつの間にやら、その気配を感じ取ったのか各々上手く逃げ仰せていた。  祠内の中央、一層際立つ石碑に突如として光が注がれる。石碑には先程まで何も書かれていなかったと言うのに、良く良く見ると今では赤い魔法文字が浮き上がっていた。勇者はハッと気付く。これは、一度だけ本で読んだ事のある、上級モンスター召喚の魔法陣。 「皆、しっかり構えろ! 来るぞ!」  恐らくイベントを起こすフラグを立ててしまったのだろう。条件は、恐らく指定量のメタルスライムの討伐、か? ならば、道理に従うならば、この後に現れる魔物は彼等の親玉。スライム達の王。メタルキングスライム、若しくはエンペラースライム! 「いいぜ! 小物ばかりで飽々してたんだ。メタスラばかりチマチマ狩ってても大した経験値にならねえからな!」 「ほう、随分と勝手な物臭じゃのう」 「何っ!?」  現れたのはメタルキングスライムでも無ければ勿論エンペラースライムでも無い、この世界を牛耳る、絶対的覇者、魔王だった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加