27人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
うたかた花火
あふれる人でにぎわう8月末のお祭り
浴衣を着て下駄も履いて
からん
ころん
音をたてる
ふいにあがった花火を二人で見上げた時
夢中で見てる君の顔をそっと盗み見たの
君の事嫌いになれたらいいのに
今日みたいな日にはきっと
また思い出してしまうよ
こんな気持ち知らなきゃよかった
もう二度と会えることもないのに
会いたい
会いたいんだ
今でも想う
君がいたあの夏の日を
少し疲れて二人
道端に腰掛けたら
遠く聞こえるお囃子の音
ひゅるりら
鳴り響く
夜空に咲いた大きな大きな錦冠
もう少しで夏が終わる
ふっと切なくなる
逆さまのハートが打ちあがってた
あははって笑いあって
好きだよって
キスをした
もう忘れよう
君のこと全部
こんなにも悲しくて
どうして出会ってしまったんだろう
目を閉じれば
今も君がそこにいるようで
甘い吐息
微熱を帯びる私は君に恋した
その声に
その瞳に
気づけば時は過ぎ去ってくのに
まだ君の面影を探して
一人きりで見上げる花火に
心はちくりとして
もうすぐ次の季節が
やって来るよ
君と見てたうたかた花火
今でも想う
あの夏の日を
最初のコメントを投稿しよう!